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2009.06.05 Friday

“クラブ以上の存在”――旅の終わりに、考えたこと。(CL Final 観戦記 その6)

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    「人間には、こんなことも可能なのか!」
    「フットボールってこんなに美しい競技だったのか!」

    そういう純粋な感動なんだ。
    彼らのプレーを観るときに生じる喜びは。

    サッカーには興味がない、という人にも分かる。感じられると思う。
    いまのFCバルセロナのプレーを観れば。

    フットボールのなにがどう美しいのかということが。
    もしかすると、
    どうして、あらゆる競技の中で最大のポピュラリティを得ているのか、
    なぜそこまで多くの人間を魅了するのか……フットボールが、世界の共通言語
    として成り立っているほどなのはなぜなのか(アメリカ文化圏は除く)、
    その理由さえ、目に見えるようにしてくれるんじゃないか……

    いまのバルサは、フットボールが持っている美を、だれにでも分かる形で
    顕在化させてくれるって意味でも史上最高かも知れないぞ?

    ……なんてことを、旅のあいだにぼんやりと考えてた。
    うまく言葉にできなかったけど。
    ローマとナポリを回ってるあいだ、ずっとどこかが麻痺していた。

    決勝って、本当にあったんだろうか?
    俺が見たとおりの内容だったのか。
    バルサが王者に?
    ぜんぶ夢だったんじゃ……



    でも、帰国する日。
    空港に向かう車の中からローマの街並みを眺めていたら――
    選手たちの顔が浮かんできた。
    ちょっと、目が潤んだ。


    サムエル、よかったなあ。

    去年、戦力外通告を受けたのに、それでもこのチームに留まることを
    直訴したのは、このチームが特別なチームで、
    このレベルに到達できると知っていたからなんだね!
    そして決勝で決めてくれた。
    フォアザチームの気持ちがあのゴールにはこもってたよ!

    アンドレス! サムエルの先制のアシストをしてくれた。
    やっぱりやってくれた、ケガを乗り越えて眩しく輝いた……
    リハビリつらかっただろうに。
    今大会のベストゴールは疑いなく、チェルシー戦の君のゴール。
    君のプレーを1秒でも長く見ていたい。
    メッシが剛なら君は柔、メッシが太陽なら君は月。
    ともに、俺たちの手が届かないところにある美しい星、
    偉大な芸術家にして舞踏家にして闘士、
    100年以上の歴史を持つフットボールの化身のような存在だ。
    また君のユニを来て会いに行くよ。

    そう、メッシ! 神のごとき力を持ちながら、
    常にフォアザチームのメンタリティを持つ君は、
    どれだけの人々を幸せにし、どれだけの少年少女に模範を与えているか……
    試合中の君の顔は、責任感の塊のようだった。
    最後はヘディングでとどめを刺してくれるなんて!
    あれがどれだけ相手を意気消沈させたか。カウンターじゃない、
    相手のディフェンス陣は数がそろっていた。背の高くない君が
    あそこでヘディングゴールを決めるためには、空間的にただ一つの
    正解である座標に、正確にボールを送り込まなくてはならない。
    その一点に見事にボールを送り届けたのが……

    チャビ! あなたも星だ。いちばん後ろで手綱を握って
    クラック(名手)たちを操ってる。そして、自らもクラック。
    あなたが居るから、リオ・メッシもドン・イニエスタも自由に舞えるんだ。
    プジョールと並ぶもう一人のキャプテン。スペイン代表でもバルサでも、
    チームの心臓だ。ユーロに続くMVPおめでとう!


    プジョール! カピタン!

    テクニックは見劣りすると評されがちだけど、あれだけの選手たちに
    囲まれてるからそう見えるだけで、キャプテンシーと闘志が補って
    余りある! ルーニーとやり合って負けなかっただけじゃない、
    後半はガンガン前出てきて、もうちょっとで点取るとこだったね!
    あなたは素晴らしい!

    ティティ・アンリ!

    アーセナル時代から、あなたの優雅な舞いを追いかけてる。
    豹とバレリーナのキメラであるあなたは、30歳を越えてついに
    最高の舞いを踊っているね。まだまだあなたのショウを観てたいよ。

    選手一人一人に触れてるときりがない……だけど、
    ピケ! 君はもうホントに“ピッケンバウアー”でいいよ! 

    鬼神のようにことごとく、相手の攻撃を最後の最後で刈り取ってた。
    シウビーニョ!

    古株が続々チームを去る中で、あなただけがチームに残れたのは
    みんなに愛されていたからだ。決勝でついに出番が回ってきて、
    しかも立派に勝利に貢献できたのは、天からのご褒美に違いないよ。

    あなたの涙にはこっちも泣かされました。
    もう、チームを去ること、決まってたんですね…
    ああもう、バルデス! グランデ・ポルテーロ!
    トゥーレ・ヤヤもケイタもボヤンもみんな素晴らしい……

    最後に、ペップ。
    グアルディオラ監督!

    俺と同い年だなんてどういうことなんだ。
    トップチームを率いるのは初めてだっていうのに、あなたはすでに
    威厳を身にまとってる。かつては選手として、キャプテンとして
    チームを引っぱり、いまの立場になっても全霊をチームに注ぎ込んだ
    あなただからこそ、これほどの実を結んだんだね。
    バルサの哲学と美学を人の形にしたらあなたになる。
    どうかこのまま、傲ることなくたゆむことなく、
    チームを黄金期に導いてほしい。
    なんて、言うまでもなくあなたは分かってるし、
    これからもバルサのスピリットをガンガン体現していくだろうけどさ!


    それにしても。
    カンテラ(下部組織)出身の選手を8人も使って欧州王者になったのは、
    今世紀ではバルサが初めてだという。
    金で買ったスターを頼りにチーム作りをするのが当たり前の昨今に、
    なんて素晴らしいことだろう。バルサはあらゆる面で、模範なんだ。
    すべてのビッグクラブが自らを問い直しているはず。
    やっぱり、このファイナルがもたらしたものは革命だ。

    バルサを言い表すときに用いられる言葉――
    ホームスタジアム、カンプ・ノウにも誇らしげに刻まれているあの言葉――
    『Més que un club』(クラブ以上の存在)


    あなたがたがそれを標榜した瞬間から、
    この高みに達することは必然だった。






    コメント
    どんな新聞や識者の言葉よりも、あなたの一人一人の選手とフットボールを愛する言葉に感動しました。
    僕はフットボールには明るくありませんが、いつか先生のフットボールを題材とした作品を読める事を期待したいと思います。
    • ひろさん
    • 2009.06.05 Friday 23:10
    > ひろさん
    お忙しい中読んでいただいて…
    テンション高すぎてみんなひいちゃってるだろうなと
    思っていたので、関心がなかったであろうひろさんの
    ような方にもに真摯に受け止めていただいて、少しは
    心を動かしていただいたんだと思うと、とても元気づけ
    られました。どうもありがとうございます!

    フットボールを題材にした作品。
    もしかすると近い将来、部分的にであるものの、
    題材にした作品を発表できるかも知れません。
    • 沢村鐵
    • 2009.06.06 Saturday 23:02
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