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2008.09.11 Thursday

俺たちが、紅海を渡ったあの日。

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    いま売りの『日経サイエンス』2008年10月号、
    「自己組織化する量子宇宙」という記事も興味深かったし、
    昨日ついに稼働したLHC(大型ハドロン衝突型加速器)の
    調子も気になるところだけど、
    前から追っかけてるトピックについて最新記事が載っていた。
    題して、「ゲノムが語る人類の拡散」
    ぜひ、かいつまんで紹介したい。

    俺たちのDNA、ヒトゲノムを調べて分かることがある。
    俺たち現生人類の祖先は、5〜6万年前のある日、アフリカを出た。
    それまでアフリカに留まっていた俺たちの祖先は、
    勇気を出して……
    あるいは、なんらかの事情で、やむを得ず……
    紅海を渡ったのだ。
    その人数、わずか数百人から数千人程度。
    この集団が、やがていくつかに分かれ、旅に出た。
    ゆっくりと、少しずつ……広がっていった。何万年もかけて。
    そして大地にくまなく行き渡ったのだ。
    俺たちのぜんぶ、全世界の人間ひとりひとりを遡っていけば、
    紅海を渡ったあの日にたどりつく。

    記事に紹介されていた、パリのパスツール研究所の
    Lluis Quintan-Murci の言葉を引用する。

    「人種などは存在しない。
    遺伝学の立場から分かることは、地理的な勾配のようなものだ。
    ヨーロッパ人とアジア人の間に明確な違いはない。
    アイルランドから日本まで、ここから何かが完全に変わるという
    はっきりした境界はどこにもない。」


    日本人の起源もそうとう複雑だということが分かってきている。
    DNAを調べると、様々なタイプがいろんな時代に、
    列島のいろんな場所から入り込んでいるらしい。
    日本人は単一民族であるとか、純血だという考え方は
    幻想でしかないのだ。

    単純計算しても、俺たちの先祖は膨大な数になる。
    自分がいるのは、父親と母親がいるからだ。当たり前だけど。
    そして、父親と母親には当然、それぞれの父と母がいる。
    2代前で、4人の親。3代前だと8人。これを繰り返していくと…
    10代前は、2の10乗だから1,024人。
    30代前になると……2の30乗で、1,073,741,824人。
    10億人を超える計算になる。
    もちろん、人間は30代前よりずっとずっと昔から、
    多くの世代を重ねてきた。
    つまりだれもが、ほとんど無限の人数のDNAを受け継いでることになる。

    再び、記事からの引用。

    「レバノン人男性の遺伝子プールの中には、
    十字軍のキリスト教徒やアラビア半島から来たイスラム教徒まで
    さかのぼることがあることが明らかになった。」


    俺たちはあらゆる民族、すべての人種の血をひいているのだ。

    なのに、人種や民族、宗教や文化で、お互いのあいだに
    むやみに線を引くことに何の意味があるんだ?
    「異教徒」なんかどこにいる?
    「敵」がどこに?

    7年前の今日、あの大国の大都市で、
    憎悪に凝り固まった者たちがビルに突っ込んで大勢の同胞を殺した。
    大国の住人たちも憎悪に凝り固まって、すぐに小国に爆弾を落としまくって
    制圧。それでも飽きたらず、子供でも納得しないような言いがかりをつけて
    かつてのメソポタミアに侵攻。
    結局、7年前の今日に殺されたよりも、ずっと多くの同胞を殺した。

    彼らは自分たちがなにをやってるのか分かってない。

    殺してる相手がだれだか知らないんだ。

    紅海を渡ったあの日、
    俺たちはみんな家族も同然だった。
    コメント
    唯一絶対を真とする時、
    個が薄れ、思考が白と化した飽和から生まれてしまう狂気の歪み。

    己を知り、他を知り交じりあうことで違う新しい色ができるだろうに……
    • 鳴家
    • 2008.09.12 Friday 20:25
    鳴家さん、ますます巨匠っぽくなってますな…(笑)

    いや、コメントありがとうございます。

    日経サイエンスのこの記事は本当におすすめなんです。
    たとえば、
    クロマニヨン人の末裔である俺たち現生人類と、
    先行人類であるネアンデルタール人の間で
    混血はあったのか否かについて、
    新しい説が登場してます。

    ネアンデルタール人は、滅亡してしまいました…
    かつては、
    俺たちと共存していた時代もあったというのに。
    • 沢村鐵
    • 2008.09.15 Monday 02:48
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